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新規事業開発

新規事業目標設定のコツとは?「SMART」に基づく手順と具体例を紹介

新規事業目標設定のコツとは?「SMART」に基づく手順と具体例を紹介

目次

新規事業を成功に導くためには、明確な目標設定が必須です。多くの場合、アイディアはあるものの、具体的な目標設定が難しいと感じることでしょう。本記事では、新規事業の目標設定に欠かせない「SMART」フレームワーク(後述)をもとに、手順と具体例を解説します。

目標設定におけるビジョンと戦略の明確化から、行動計画の立案、効果測定に至るまでの一連のフローを把握し、成功事例を通じて理論だけでなく実際の適用例もご紹介します。目標設定におけるよくある課題や注意点についても触れながら、計画に推進力をもたせるヒントを提供します。

新規事業における目標設定の重要性と課題

目標設定の重要性

目標をしっかり設定することで、新規事業の方向性が明確になります。これは、経営者だけでなく、プロジェクトに関わる全員が共通の理解とビジョンを持つ土台となりますし、明確な方向性があると、無駄な作業や迷走を避け、重要なタスクに専念しやすくなります。

くわえて、具体的な目標があると、達成するためのモチベーションが高まります。目標が明確でプロジェクト全体に共有されていると、目標に達したときの達成感や結果を誰もが具体的にイメージできますし、結果的に作業の質と速度を向上させる効果があります。これは特に新規事業において重要なことと言えます。

目標設定は進捗の測定にも役立ちます。目標に対する進捗を数値で計測できると、計画から外れてしまっている場合や、逆に順調に進んでいる場合に、それを早めに察知して調整できます。状況に応じて柔軟に計画を修正することで、事業の成功確率を高めることができるのです。

目標設定の課題

いちばんの課題は過度な期待を持つことです。目標があまりにも高すぎたり、現実に即していないと、目標達成へのプレッシャーがチームのモチベーションを下げ、生産性の低下を引き起こす可能性があります。また、新規事業は未知の要素が多く、目標設定そのものが曖昧になりがちで、結果として方向性を失うこともあり得ます。

さらに、新規事業の環境は急に変わることも多く、一度設定した目標がすぐに古くなったり、無効になる可能性もあります。変化に対応するために、最初の段階で目標を固定せず、定期的な見直しと調整をPDCAサイクルに入れておくとよいでしょう。しかし、柔軟性を持たせること自体が課題となる場合も多く、目標をリアルタイムで修正し、チームとどう共有するかが課題として立ちはだかることも往々にしてあります。

新規事業における目標設定は一筋縄ではいかない複雑な課題を抱えていますが、これらに一つひとつ対処することで、成功に導く確率を高めることができます。

目標設定のフレームワーク「SMART」とは

目標設定のフレームワークとしてよく用いられる「SMART」は、特定の目標を明確かつ効率的に設定するためのフレームワークです。SMARTは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(時間制限)の頭文字を取って命名されました。このフレームワークに従って目標を設定することで、具体的で実現可能な目標を立てやすくなります。

  • Specific(具体的)
    目標が明瞭で詳細なものであるべきという原則を表します。あいまいな目標は、チームが混乱し、方向性を失いがちです。具体的な目標でどのような成果を出すのか、誰が関与するのかなど、詳細にわたって明確にします。
  • Measurable(測定可能)
    目標が数値や指標によって測定できることを指します。これにより、進捗状況を客観的に把握し、必要な調整を行いやすくなります。
  • Achievable(達成可能)
    目標が現実的なものであることを示しています。適度な目標はモチベーションを引き出し、高すぎる目標は、モチベーションを削いでしまいます。
  • Relevant(関連性)
    目標が事業戦略やビジョンに合致していることです。合致していると、全体の戦略達成に寄与する形で個々の目標を進めることができます。
  • Time-bound(時間制限)
    目標達成には明確な期限を設けるべきという考え方です。期限を明確にすることで、プロジェクト計画的に進められます。

新規事業の目標設定4ステップ

新規事業の成功はビジョンと戦略が明確になることで、何を達成したいのか、その達成にどんな過程が必要かが見えてきます。そのために必要になるのが、具体的な目標設定です。KPI(Key Performance Indicator)やSWOT分析、ガントチャート、Kanbanボードなど、具体的なフレームワークやビジネスで広く用いられるツールを使って、確実な目標設定と新規事業の成功への確率を大いに高めましょう。

ステップ1:ビジョンと戦略を明確にする

最初のステップでは、ビジョンと戦略を明確にします。事業の最終的な目的と、その目的を達成するための大まかな方針を定義するためです。具体的には、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)を用いて、社内・社外の環境を的確に把握し、競争優位をどう築いていくか考えます。

ステップ2:SMARTに基づいて目標を設定する

ビジョンと戦略が明確になったら、次はSMARTのフレームワークに基づいて目標を設定します。目標がSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(時間制限)という5つの条件を満たすように設定します。

ステップ3:目標達成のための行動計画を立てる

次に、設定した目標を達成するための具体的な行動計画を作ります。各行動に必要なリソース(時間・人員・費用など)を詳細にプランニングします。ガントチャートやカンバンボードを使用すると、行動計画の進捗管理がスムーズに行えます。

ステップ4:目標の進捗状況と効果測定を行う

最後に、目標の進捗状況と効果を測定します。KPI(重要業績評価指標)を用いて目標に対する達成状況を定期的に評価し、調整します。新規事業は変化が激しいため、進捗状況のチェックと評価をまめに行い、必要に応じて指標を変更します。

定期的に効果測定のPDCAサイクルを回しながら、指標の適正度をチェックし、新規事業の目標設定に適切な指標と確認サイクルを定めます。

目標設定の成功事例

目標設定は事業成功のカギとなる要素ですが、具体的な戦略をどう組み立て、実行に移すかが問われる点でもあります。どのように計画を立て、具体的な行動に移していったのか、事例を通じてご紹介します。以下は、弊社がサポートさせていただいた新規事業の成功事例です。クライアント企業様からのご相談をもとに、弊社内で目標と計画を立て、プロジェクトとして行った内容をまとめています。

成功事例1:新聞アプリに対する新たな価値の再設計プロジェクト

▲出典:朝日新聞デジタル

概要
新聞離れが進行するなかで、新聞アプリに新たな価値を持たせるためのプロジェクトです。このプロジェクトは、ターゲットとコンセプトから全体を再設計し、プロジェクトメンバーが一丸となってワークショップ、プロトタイプ開発、そしてリサーチによる検証・ブラッシュアップを行いました。

なぜ成功したのか?

  • 適切な期間とチーム構成
    UX設計に6ヶ月を費やし、プロジェクトマネージャー(PM)・UXデザイナー・デザイナーなど専門性の高いメンバーで構成されていました。
  • 明確な予算感
    予算が明示されていましたので、プロジェクトの規模と範囲がはっきりとし、リソースの最適な配分が可能でした。
  • ユーザーセンターのアプローチ
    ペルソナ設計とコンセプト設計に基づき、実際のユーザーニーズと課題を明確にしました。これによって、プロトタイプの設計と検証が効果的に行われました。
  • 具体的なソリューション
    Adobe XDやFlintoといったデザインツールを活用してプロトタイプを開発し、結果をもとにブラッシュアップを行いました。これが高いレベルでの製品完成度を可能にしました。

まとめ
このプロジェクトは、明確な目標と戦略、そしてユーザー中心の設計によって、新聞離れという深刻な課題に対して有効なソリューションを提供できました。新たな価値を創造するプロジェクトにおいて、優れた目標設定がいかに重要であるかを示す典型例とも言えます。
関連記事:https://digital.asahi.com/pr/app/

成功事例2:カスタマージャーニー可視化によるDXポータルサイトの立ち上げ

▲出典:DX SQUARE|IPA

概要
「学んで、知って、実践する」をコンセプトにしたDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するポータルサイトの立ち上げを行いました。担当者とのインタビューを通じてDXに関わる人々のニーズや課題を洗い出し、それに応じたコンテンツを計画・制作しました。

なぜ成功したのか?

  • 適切なプロジェクト体制と期間
    PM・ディレクター・UXデザイナー・デザイナー・コンテンツディレクター・エンジニアなど、多角的なスキルを持つメンバーが参加。UX設計に2ヶ月、制作に3ヶ月という時間を設定し、目標に対してリアルな期間とリソースを配分しました。
  • 明確な予算設定
    予算が明示されておりましたので、プロジェクトのスコープと規模が早い段階で明確になりました。
  • カスタマージャーニーの可視化
    担当者へのインタビューを通じてユーザーの課題とニーズを明確にし、それを基にペルソナ設計、カスタマージャーニー設計、キーワード設計を行いました。
  • ニーズに合わせたコンテンツ制作
    上記の可視化と設計に基づき、コンテンツを企画・制作。これによって、ユーザーが実際に求める情報を効果的に提供することができました。
  • 運用性を考慮
    立ち上げ後の運用性も踏まえたサイト設計を行い、CMSの構築を含めたトータルでのソリューション提供を行いました。

まとめ
ユーザーの課題とニーズをしっかりと捉え、それに応じたコンテンツを提供することで、高いユーザーエンゲージメントと満足度を実現しました。このようなアプローチが、目標設定とその達成において非常に重要であることを、この事例は示しています。
関連記事:https://dx.ipa.go.jp/

成功事例3:支出管理クラウド「TOKIUM」サービスサイトリニューアル事業計画

▲出典:TOKIUM

概要
支出管理クラウド「TOKIUM」のサービスサイトリニューアルプロジェクトです。このプロジェクトの主目的は、既存の2つのサービスサイトを統合し、ユーザーニーズに応じた新しいプラットフォームサイトを構築することです。

なぜ成功したのか?

  • 明確な目的とSMARTな目標設定
    サイト構造の複雑化解消とCVR(獲得率)の改善を明確に目指しました。このようなSMART(特定的・測定可能・達成可能・関連性・時間制限)な目標が設定されていたため、プロジェクトは方向性を失うことなく進行できました。
  • 計画的な期間と体制
    UX設計に2.5ヶ月、制作に6ヶ月という時間があり、十分なリソース(プロジェクトマネージャー・ディレクター・UXデザイナーなど)が確保されていました。
  • 予算感の明示
    予算が明確に設定されていましたので、プロジェクトのスコープと期待値がはっきりとした形で共有できました。
  • 課題とソリューションの明確化
    事前に綿密なペルソナ設計、カスタマージャーニー設計、競合調査、キーワード設計などを行い、課題解決に取り組む土壌が整っていました。

まとめ
このプロジェクトは、明確な目標設定、計画的な実施期間と体制、そして具体的な課題とソリューションの設計によって成功を収めました。ユーザー体験を中心に設計した新しい「TOKIUM」サービスサイトは、これらの要素がしっかりと組み込まれていたからこそ、目標を達成できたと考えています。
関連記事:https://www.keihi.com/

目標設定を行う時の注意点

目標設定の過程で多くの企業が陥りやすい“罠”も存在します。夢や理想と現実的な目標を混同したり、リスクマネジメントを行わずに撤退条件を設定しない、プロセスの軽視、一度設定した目標を見直さない点などが挙げられます。

新規事業における目標設定の注意点を理解して実践することで、目標設定は単なる「チェックボックス」から「事業成功のための強力な武器」になり得ます。綿密な計画と継続的な調整が新規事業の成否を大きく左右しますので、これらの注意点をぜひご活用ください。

「夢」や「理想」と混同せず、実現可能性があるか考える

新規事業の目標設定において、ビジョンや理想は不可欠ですが、それらは事業やプロジェクトの「方向性」を示すものであり、その達成がどれだけ現実的かはまた別の話です。目標は達成可能である必要があり、それが不可能ならばそれは目標とは言えません。

目標には実現可能な数値を設定し、たとえば「1年後には月間売上を2倍にする」といった明確な数字を設定すると、目標が現実的かどうかを判断しやすくなります。目標には期限を設定し、その期限内での達成可能性を考慮するとよいでしょう。

撤退条件もあらかじめ決めておく

目標設定は、成功のためのロードマップであると同時に、リスク管理の役割も担います。目標達成のプロセスにおいて「何が失敗であるか」を明らかにして、撤退や方向転換する条件を事前に設定しておくと、のちの混乱を防げます。具体的には、KPI(主要業績評価指標)設定の際、成功指標だけでなく「失敗の指標」も設定しておきます。たとえば、新規事業開始からの6ヶ月後の月間売上が目標の50%に満たない場合は、撤退を考慮するなど。

また、新規事業がうまくいかなかった場合のシナリオも考え、対処法と撤退条件を最初に設定しておくと、冷静な判断がしやすくなります。その際、誰が撤退条件に基づいて最終決定を行うのか、その責任と権限も決めておくと、厳しい状況になったときに迅速に判断がしやすいです。

目標に対する結果だけでなくプロセスも重視する

「結果の目標」だけに集中すると、プロセスがおろそかになる可能性があります。結果はプロセスの積み重ねによって生まれます。不明瞭かつ不確かなプロセスは、目標達成において多くのリスクをはらんでいますが、逆に言えば、プロセスが明確かつ効率的なら、目標達成の確率も高まると言えます。

たとえば、「毎週5回新規顧客にアプローチする」「毎月1つ新しいマーケティング戦略を試す」などのプロセス目標の設定を行います。プロセス目標は常に進捗をモニタリングできるので、実行しながら課題や改善点を早めに発見でき、適宜調整ができるところも、よい点です。

目標を立てて終わりにせず、実行と振り返りの中で定期的に見直しを行う

目標を設定した後に重要なのは、目標に対する取り組みをどう進め、達成状況をどう評価するかの過程です。以下は、このポイントに関連する詳細です。

行動計画の実行を開始したら、進捗状況を定期的にチェックします。月次、四半期ごとのレビューが一般的ですが、目標によっては週次での確認もあるとよいです。定期的な進捗確認では、達成状況と一緒に行動計画自体が現実に即しているかどうかも評価します。必要に応じてプランを修正し、現場の変化に合わせた修正を行います。

こうしてプロセスを振り返り、何がうまく行ったのか、何が改善点なのかを評価を定期的に行います。このサイクルを適切に管理することで、組織全体のパフォーマンスが向上し、ビジネスの成功確率が高まります。

新規事業の目標設定にお悩みならUX Design Labがサポートします

新規事業においては、目標設定だけでなく、その実現に向けたプロセスも重要であること、撤退条件を明確にしてリスクを管理すること、そして目標を達成した後でも振り返りと改善を継続することの重要性をご理解いただけたと思います。

目標設定は新規事業成功のための第一歩。しかし、その後の行動計画作成や進捗管理が不十分であれば、目標達成は遠のいてしまいます。UX Design Labと一緒に、効果的な目標設定とその実現のための戦略を練りませんか。成功への道は明確な目標とその追求から始まります。事業の規模や業種に応じた最適な解決策をご提案いたしますので、気軽にお問い合わせください。

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UX Design Lab編集部
記事を書いた人 UX Design Lab編集部
UX Design Labは、ユーザー視点・マーケティング視点の両面からWeb開発や新規サービス立ち上げ、サイト制作の戦略設計をサポートするUXコンサルティングサービスです。UXデザインでユーザー視点での本質的なニーズを見出し、現状の課題を発見・分析・改善します。編集部からはUX設計や事業立ち上げ、マーケティングに関わる有益な情報を、識者の目線から提供いたします。

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