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カスタマージャーニーマップ

【国内・海外】企業が作成したカスタマージャーニーマップの事例5選

【国内・海外】企業が作成したカスタマージャーニーマップの事例5選

目次

カスタマージャーニーマップは、1つの製品やサービスに対するユーザーの認知、情報収集、検討、購入、購入後までのプロセスを可視化したものです。見込み顧客から顧客になるまでの行動や思考の変化を把握できるため、カスタマージャーニーマップを作成することでユーザーニーズに沿った事業や施策を展開できるようになります。

この記事では、そんなカスタマージャーニーマップの企業事例をご紹介。製品やサービスによってフォーマットや記載する内容、活用方法が異なるため、自社でカスタマージャーニーマップを作成する際の参考にしてみてください。

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、「ユーザーがどのようなプロセスを経て購入に至るのか」についてまとめたもの。横軸に認知、情報収集、検討、購入、購入後……といった時間軸を、縦軸に行動、思考、タッチポイント、課題などの項目を設定し、各フェーズにおけるユーザーの状況を整理します。ユーザー視点で事業課題の洗い出しや施策の優先度付けを検討できるため、ユーザーに効果的なアプローチができるようになります。

カスタマージャーニーマップの企業事例5選

ここからは、企業が実際に作成したカスタマージャーニーマップと、その活用方法をご紹介します。身近なサービスや企業の事例を参考に、カスタマージャーニーマップを作成してみてください。

Spotify

(出典:Meghana Bowen

音楽ストリーミングサービスの「Spotify」は、曲やプレイリストの共有機能を追加する際にカスタマージャーニーマップを作成しました。

このカスタマージャーニーマップは、ユーザーがSpotifyで聴いた曲をWhatapp(メッセンジャーアプリ)を通じて友人へ共有するまでのプロセスがまとめられており、2人分のユーザーの考え、タッチポイント、感情について記載されている点が特徴です。音楽を共有する/される双方のユーザーにとって「音楽を共有する」という行動がどのようなものであり、それをどのように改善できるか理解できる内容となっています。

(出典:Meghana Bowen

カスタマージャーニーマップの作成に欠かせないペルソナ設計は、競合他社の分析やユーザーインタビューの調査結果をもとに行われました。名前、年齢、居住地、職業といった基本情報だけでなく、性格や具体的な経歴、そしてSpotifyを利用する頻度、シーンなどについても設定することで、カスタマージャーニーマップに具体性が増し、ユーザー像の解像度が上がっています。

スターバックス(シンガポール)

(出典:Medium「Are you getting the RIGHT Starbucks Experience? — Redesigning the Starbucks Singapore App」)

スターバックスは、評価が低いモバイル決済アプリの課題を発見するために、3通りのペルソナによるカスタマージャーニーマップを作成しました。カスタマージャーニーマップには、ペルソナが店舗に到着してからドリンクを飲むまでのプロセスと、そのときどきの感情がグラフで表されています。

(出典:Medium「Are you getting the RIGHT Starbucks Experience? — Redesigning the Starbucks Singapore App」)

(出典:Medium「Are you getting the RIGHT Starbucks Experience? — Redesigning the Starbucks Singapore App」)

これらのカスタマージャーニーマップを通して、モバイル決済アプリが「ストア」「支払い」「サインアップ」の3点について課題を抱えていることを発見。そして、それぞれの課題を解決する以下の機能の提案につながりました。

  • ストア:適切なタイミングで店舗に行きたい→アプリ上で店舗の混み具合、Wi-Fi、コンセント、座席数などを表示
  • 支払い:迅速に支払いたい→決済フローを簡易化
  • サインアップ:スムーズにサインアップをしたい→GoogleやFacebookアカウントとの連携、サインアッププロセスの短縮

※上記の事例は、デジタル人材の育成プログラムを提供するGeneral Assembly社によるユーザーエクスペリエンスデザインイマーシブ(UXDI) コースのプロジェクトの一貫で作成されたものです。実在の団体・人物とは関係ありません。

JCB

(出典:セールスフォース・ジャパン「お客様の期待に応え「頼れるカード」になるために、社内を巻き込み突き進むJCB WEB統括部」)

JCBでは、クレジットカード入会初期のユーザーに向けたメール施策を検討する際にカスタマージャーニーマップを作成しました。以前は入会してから1ヶ月後にカードの使い方に関するメールマガジンを送付していましたが、実際は多くのユーザーが1ヶ月以内に初回利用を終えていることが判明。個人の利用状況を問わず自動配信していたこともあり、メールマガジンを適切なタイミングで送付できていなかったのです。

そこで、入会者がカードを受け取ってからどのような行動をするのか、どのような情報を欲しているのかを整理し、理想のカスタマージャーニーに対して欠けている要素を洗い出しました。そして、完成したカスタマージャーニーマップをもとにメールマガジンの送付タイミングと内容を再検討。入会者の手元にカードが届く頃(入会してから1〜2週間後)に「入会のお礼メール」を送付したところ、70%という高い開封率を達成し、会員専用Webサービス「MyJCB」のログインページへのクリック率も上昇しました。

さらにカード未利用者に対するフォローメールを送付したところ、カードの稼働率が5%ほど改善。カスタマージャーニーマップを通して、メール施策をより効果的なものへブラッシュアップすることができました。

フォルクスワーゲン

(出典:Volkswagen Newsroom「Focus on customers: Volkswagen appoints Chief Experience Officer」)

フォルクスワーゲンは自動車の電動化を推進していく中で、より良いユーザーエクスペリエンスを検討する際にカスタマージャーニーマップを作成しました。

目標である「フォルクスワーゲンブランドとのあらゆる接点でクラス最高のユーザー体験を生み出すこと」を達成するために、自動車の利用前から利用後までのタッチポイントを整理。それぞれのタッチポイントでユーザーニーズに沿った質の高い製品、サービスを提供することで、持続可能なモビリティブランドとしての魅力を高めています。

日本政府観光局(JNTO)

(出典:JNTO(日本政府観光局)「インバウンドに役立つWebサイト、SNS、YouTubeの運用方法(JNTOマーケティング研修会テーマ2 ※講演資料の一部掲載)」)

日本政府観光局(JNTO)は、訪日外国人が日本に訪れて帰国・再来日するまでのカスタマージャーニーマップを作成しました。

これは日本の情報発信を行う際のメディア選定に活用され、いつ、どのような情報を、どのメディアを利用して訴求していくべきかがまとめられています。カスタマージャーニーマップを軸にメディアの活用方法を検討することで、ユーザーニーズに沿った情報発信をすることができ、結果的にリーチ数やアクセス数の獲得にもつながります。

カスタマージャーニーマップを活用するための2つのポイント

カスタマージャーニーマップを作成しても、KPIが設定できていなかったり、社内での共有が不十分だったりすると、事業課題の洗い出しや施策の優先度付けが十分に行えません。ここでは、自社で作成したカスタマージャーニーマップを活用するためのポイントを解説します。

作成した内容に基づいてKPIを設定する

KPIを設定することで現状とのギャップが分かり、どのような施策を打つべきかが明確になります。そのため、ユーザーが製品やサービスを認知してから購入するまでの各フェーズと、それぞれのタッチポイントにKPIを設定しましょう。たとえば、「情報収集」フェーズのタッチポイントである自社HPのKPIを「◯◯というキーワードの検索順位を10位以内にする」などです。

部署を横断して共有する

カスタマージャーニーマップは、見込み顧客から顧客になるまでの行動や思考の変化を言語化し、視覚的に把握できる点が魅力です。そのため、カスタマージャーニーマップを他部署と共有することで、課題に対する認識や目指したい方向性を統一することができます。「どのユーザー層にアプローチするべきか」「どのような施策が効果的か」などの擦り合わせがスムーズにできるため、スピーディーに課題解決ができるでしょう。

カスタマージャーニーマップを作成して、事業課題の洗い出しや施策の優先度付けに役立てよう

カスタマージャーニーマップには、決められたひとつのフォーマットは存在しません。自社の製品やサービスによって盛り込むべき内容が異なるため、まずは自社と近しい業種の企業事例を参考に作成・ブラッシュアップしてみてください。

とはいえ、作成したカスタマージャーニーマップをどのように活用しながら製品・サービスへ反映していけば良いのかわからない方もいらっしゃるでしょう。そんな方へ、UX Design Labでは、課題やニーズについて議論するワークショップに加え、ペルソナ設計やカスタマージャーニーマップをもとにしたサイト設計やコンテンツ施策のご提案まで一貫して実施。営業活動やマーケティングにも活用できる、精度の高いカスタマージャーニーマップをご提供します。

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UX Design Lab編集部
記事を書いた人 UX Design Lab編集部
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